『大館の元気を作る人たち』 (2005/10/07掲載)

文化会館には年間十一万人ほどの利用者・来場者があります。いろいろな人との関わりの中でいろいろな話を伺うことができるのは、会館職員としての大きな楽しみのひとつです。

同じ名字のふたりのTさんの話をしましょう。一人目のTさんは、退職後の住まいを大館に定め関東からやってきました。神奈川県は湘南の生まれ。自分から吹聴はしませんが、小さい頃から加山雄三と遊び友達だったそうです。大館の人からずいぶん同じことを聞かれたでしょう、なにが楽しくて遊ぶところもない、こんな雪の多いところに来たのか、と。Tさんは雪のたいへんさも含めてここの暮らしは面白くてしょうがないと言います。大館はすばらしいところだよ、何でわからないかなあ、と言いつつ、得意のダンスで友達もたくさんでき、にこにこしながら踊っています。

北秋田市で養護施設に勤めるもう一人のTさんはラッパ吹きです。若い頃トランペットひとつを携えてドイツへ渡り、オーケストラで吹いていました。ほとんどドイツ語を話せない状態で渡ったそうですから、無謀というか音楽は世界の言葉というべきか、判断に苦しむところではあります。

特に接点もないふたりのTさんに共通するのは明るく前向きなところ。このふたりに限らず、楽しいことを自分たちでつくろうとしている人が大館には少なからずいる、ということがこの職場にいるとよくわかります。

一人目のTさんが楽しみにしている本場のタンゴ楽団「エンリケ・クッティーニ楽団」が十一月六日にやってきます。そして、縁あって二人目のTさんが実行委員長を務めるドイツ最高のアマチュア合唱団「カネマキコア」の公演は、本日午後七時開演です。Tさんのラッパも聴けますよ。

追伸。永年にわたり大館のジャズシーンをリードするSさんが、十月二十七日にTKYのライブを開催します。これは必見です。  (陽)