求む高校生プランナー (2010/02/05掲載)

 今頃書くのもどうかと思いますが、昨年末、各地の第九公演をネットや音楽誌などでチェックしていたら、N響のソリストに安藤赴美子、九州交響楽団には清水華澄、小原啓楼、青山貴の名前が。他にも東京交響楽団、大阪フィルなどにも出演していて、一昨年の「大館の第九」ソリストの面々、活躍してます。ま、とりあえずそれだけですが…。

 神沼遼太郎著『かなり変だぞ「クラシック通」』(幻冬舎新書)。音楽評論家の著者が、演奏家からホール、聴衆などなど、クラシックにまつわるあれこれを「○○のアホ」と次々に槍玉にあげていくのですが、文化会館の管理者としては耳が痛いこともいくつか。それでも関西人の言う「アホ」は愛情のあるけなしだったりするので、それとこの手の本によくあるルサンチマンの感じられないユーモアに満ちた文章なので、読後感は悪くありません。面白いです。中で「なるほど、やっぱり!」と膝を打ったのは、「音大生、音大教官、現役演奏家はコンサートへ行かない」という不思議な現象。もちろん全ての該当者がそうだということはないのですが、コンサートを主催する立場としてはよーく分かります。音大はともかく、教え教わる立場のあれやこれや…、論を進めるとヤバいことになりそうなので、とりあえず以上です。

 相変わらず前説が適当すぎますが、私たちの大きな課題の一つ、文化芸術を子どもたちの心の糧にしてもらうにはどうすればいいのか、というところにつなげたかったわけで。失敗しましたが。

 というわけで本題、ただいま「高校生イベント企画ワークショップ」の参加者を募集中です。子どもたちにむりやり舞台芸術を鑑賞させてもどうもあまり意味がない、とまでは言い切れないにしても、少なくとも効率的ではないと思います。でも、芸術文化の力を信じるものとして、子どもたちが芸術文化に能動的にかかわる機会をつくるにはどうしたらいいか、常々考えてきました。そのひとつの方法として、高校生のプロデューサーを自前で養成しようということになりました。役割として期待したいのは、大きく言ってしまうと文化芸術を通しての大館のまちづくりへの参画なのですが、中でも子どもたちと文化芸術をつなぐ懸け橋になってもらいたいと思います。そのために、まずは芸術と市民を結ぶ仕事である「アートマネジメント」を会館職員と一緒に学んでもらい、また実際に文化会館の内外における公演やイベントの企画運営に参加してもらおうと思っています。勉強と実地体験、そしてできれば実際の企画運営までを考えていますので、ネーミングは悩みましたが「イベント企画ワークショップ」ということにしました。期間はとりあえず来年の3月まで。仕事の年度で言うと2年間の事業です。そしてうまく回るようなら、ずっと続くシステムにしていきたいと思います。そういうことなので、募集対象は高校(各種学校含む)1・2年生です。受験勉強の邪魔にならないようには気をつけたいと思っています。音楽や演劇をやっている人だけでなく、いろんな趣味の人が集まってくれればうれしいです。

 アートマネジメントは近年、芸術系大学をはじめ多くの大学でコースや講座が設けられています。私たち会館職員に大学教員のような講義ができるわけではありませんが、奇跡と言われたB’zの文化会館公演をはじめ、ドリカムのサプライズ公演、五嶋みどりのノーギャラでのコンサートなど、それなりに注目される公演やイベントをこなしてきていますから、実地に即したいろいろな話ができるだろうと思います。ほぼ週1回ペースで集まれればいいかな。私たち職員にもとてもいい勉強になるはずで、本当に楽しみです。

 高校生の購読率が高いとは思えないので、これを読んだ高校生のいる家のお母さんお父さんおばあちゃんおじいちゃん、どうか娘さん息子さんお孫さんに文化会館でこういう面白そうなことをやるらしいよと教えてやってください。募集人数は5〜10人程度、締切は11日です。待ってるぞ、高校生。 (陽)